猫の暑さ対策を、環境づくりに絞ってまとめました。この記事の守備範囲は「部屋をどう整えるか」です。環境省シンポジウム資料では、室温22〜25℃・湿度50〜60%が猫の快適な目安とされ、湿度が80%を超えると呼吸による放熱の効果が最小になるとされています。エアコン・水・留守番時の工夫を、環境省ポスターとiCatCareの一次資料にもとづいて紹介します。うちの2匹(ココ・ちくわ)の実際の留守番の様子も、確認できた事実だけ添えました。この記事は診断・治療の指南ではなく、獣医師の監修も受けていません。
先に結論を書きます。猫の暑さ対策で一番効くのは、部屋の環境を整えることです。環境省のシンポジウム資料では、室温22〜25℃・湿度50〜60%が猫の快適な目安とされ、湿度が80%を超えると呼吸による放熱の効果が最小になるとされています。日本の夏は蒸し暑いので、温度だけでなく湿度も下げられるエアコンでの管理を基本に、水と逃げ場を用意する——これが軸になります。
この記事の守備範囲は、この環境づくりです。ぐったりなどの緊急サインは熱中症編、食欲や元気の変化は夏バテ編にまとめたので、そちらを見てください。
この記事は一般的な予防情報です。診断や治療の指南ではなく、獣医師による監修も受けていません。温度・湿度の数値は目安で、猫の年齢・体調によって適切な範囲は変わります。猫の様子にいつもと違うところがあれば、自己判断せず動物病院へご相談ください。
この夏クラスタでの、この記事の守備範囲
このサイトには夏の暑さについて3つの記事があります。答えが重ならないよう、役割を分けています。
| 記事 | 守備範囲 | こんなときに読む |
|---|---|---|
| 熱中症 | 緊急性と気づくべきサイン | 危険な状態を見逃したくない・何度から危ないか知りたい |
| 夏バテ | だるさ・食欲の変化 | 元気や食欲が少し落ちてきた気がする |
| 暑さ対策(この記事) | 室温・湿度・留守番の環境づくり | 部屋をどう整えれば防げるか知りたい |
この記事は「防ぐための環境づくり」を担当します。危険なサインや受診の目安は熱中症編、じわっとした不調は夏バテ編へ。
目安になる室温と湿度(環境省シンポ資料)
まず数字から。環境省の熱中症対策シンポジウム資料(井上獣医師)には、次のように書かれています。
- 室温22〜25℃・湿度50〜60%だと快適に過ごせる
- 湿度が80%を超えると、呼吸(蒸発)による放熱の効果は最小になる
猫は汗腺が肉球などにしかなく、体温を下げる手段が口呼吸などに限られます。だから湿度が高いと、そもそも放熱がうまくいかなくなるのです。日本の夏は高温多湿なので、「エアコンで温度を下げているのに、なんだか涼しくない」というときは、湿度が高いことが多いです。温度と湿度の両方を見るのがポイントになります。
この22〜25℃・50〜60%は環境省シンポジウム資料の目安の値です。すべての猫に一律で当てはまる基準ではありません。子猫・高齢猫・持病のある猫は快適な範囲が変わることがあるので、様子を見ながら調整してください。
エアコンでの管理が基本
夏の室内で猫を守る基本は、エアコンで室温・湿度を管理することです。これは環境省ポスター2025が案内する「室内は適切な温度・湿度を管理し、猫が自分で快適な場所へ移動できる環境を整える」という考え方に沿っています。
コツは、部屋全体を冷やしつつ、逃げ場も残すことです。
- 冷風が直接ずっと当たる場所だけにしない
- 猫が寒く感じたときに移れる、毛布やベッドなど暖かい選択肢も置いておく
- 直射日光が差し込む窓際は、カーテンなどで避けられるようにする
猫が「暑ければ涼しいところ、冷えたら暖かいところ」と、自分で選べる状態にしておくのが、環境省ポスターの言う「自ら快適な場所に移動できる環境」です。設定温度や体感は住まいや猫によって変わるので、上の目安を出発点に、様子を見て調整してください。
なお、扇風機や送風だけで乗り切ろうとするのは、暑さが厳しい日には心もとないです。猫は汗の蒸発で体を冷やせないため、風を当てても人ほど涼しく感じにくいとされています。風は空気を動かす助けにはなりますが、室温・湿度そのものを下げられるのはエアコンです。
水の用意
暑い時期は、新鮮な水をこまめに用意することも大切です。iCatCareは、水を1日数回替える・水飲み場を複数置く・水飲み噴水(ファウンテン)を使うといった工夫を案内しています。
- 器を複数の場所に置いて、どこにいても飲めるようにする
- 水はこまめに替えて新鮮に保つ
- 留守番のときは、倒れにくい器や多めの量にしておくと安心
留守番のときの環境づくり
留守番は、飼い主が様子を見られない分、環境の準備がそのまま安全につながります。環境省ポスターの「自分で快適な場所へ移動できる環境」を、留守番用に整えておく、というイメージです。
- エアコンをつけたまま出かけ、室温・湿度を保つ
- 猫が涼しい場所と暖かい場所の両方を選べるようにしておく
- 水を複数の場所に、多めに用意する
- 直射日光が入り続ける場所を避けられるようにする
- iCatCareの注意点:物置・温室・車の中など、猫が涼を求めて入り込んで閉じ込められる場所をなくしておく
とくに車内は厳禁です。環境省のチラシによると、気温35℃の炎天下で窓を閉め切りエンジンを止めた車内は、わずか15分で危険なレベルの暑さに達します(数値の元はJAFの車内実験)。「すぐ戻るから」で車に残さないでください。
うちの場合(ココとちくわの留守番)
ここは、うちの2匹で実際に確認できていることだけを書きます。うちの留守番は、最長で1日くらいです。そのあいだは見守りカメラで様子を確認しています。帰宅すると、2匹そろって玄関で待っている、という感じです。
ここに書いたのは、うちの2匹(ココ・ちくわ)の実際の様子です(n=2の記録)。留守番の長さや見守り方はご家庭ごとに違います。「1日くらいなら大丈夫」と一般化するものではありません。エアコンの設定温度や涼感グッズなど、確認できたことは今後この欄に足していきます。
飼い主には「適切な温湿度管理」の裏づけがある
ここまでの環境づくりは、なんとなくの親切ではありません。環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(告示)には、飼養施設について「適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保する」と定められています。
この告示は「何℃にしなさい」という数値までは決めていません(質的な規定です)。それでも、室内の温度・湿度を適切に保つことが、飼い主に求められているという裏づけにはなります。暑い日に部屋を整えるのは、猫のためであると同時に、飼い主としての基本的な務めでもある、ということです。
まとめ
- 目安は室温22〜25℃・湿度50〜60%(環境省シンポ資料)。湿度80%超で放熱の効果は最小に
- 温度だけでなく湿度も。日本の夏は蒸し暑いのでエアコンでの管理が基本
- 猫が「涼しい場所と暖かい場所」を自分で選べる逃げ場を残す
- 水は新鮮に、複数の場所に。留守番は「自分で選べる環境」を準備しておく
- 車内は厳禁(35℃・15分で危険)。物置や温室など閉じ込められる場所もなくす
- 危険なサインは熱中症、元気・食欲の変化は夏バテへ
エアコンで過ごす夏は、運動量が減って体重や食事量が気になる季節でもあります。カロリー計算機や適正体重チェックもあわせてどうぞ。多頭飼いの留守番のリアルは、多頭飼いの実録にうちの様子を書いています。
くり返します。この記事は診断・治療の指南ではありません。温度・湿度の数値は目安で、猫の年齢・体調によって適切な範囲は変わります。ぐったり・ふらつきなど緊急のサインがあるときは、涼しい場所へ移して、すぐに動物病院へご連絡ください。
よくある質問
猫にとって快適な室温・湿度はどれくらいですか?
環境省の熱中症対策シンポジウム資料(井上獣医師)では、室温22〜25℃・湿度50〜60%だと快適に過ごせる、とされています。あわせて、湿度が80%を超えると呼吸(蒸発)による放熱の効果が最小になる、とも説明されています。日本の夏は高温多湿なので、温度だけでなく湿度にも気を配るのがポイントです。ただしこれは目安で、猫の年齢や体調で快適な範囲は変わります。エアコンを使いつつ、猫が自分で涼しい場所や暖かい場所を選べるようにしておくと安心です。
留守番のとき、猫の暑さ対策はどうすればいいですか?
環境省の2025年版ポスターは、室内の温度・湿度を管理し、猫が自分で快適な場所へ移動できる環境を整えることを案内しています。留守番中はこの『自分で選べる』が特に大事です。エアコンをつけたまま出かける、新鮮な水を複数の場所に置く、直射日光が入る窓は避けられるようにする、といった備えが基本になります。iCatCareも、物置や車内など猫が涼を求めて入り込んで閉じ込められる場所に注意するよう案内しています。うちは留守番のあいだ見守りカメラで様子を確認しています。
エアコンをつけっぱなしにしても大丈夫ですか?
夏の室内で猫を留守番させるとき、エアコンで室温・湿度を管理することは、環境省ポスターの『適切な温湿度管理』の考え方に沿った基本的な対策です。ポイントは、部屋全体を冷やしつつ、猫が寒くなりすぎたときに暖かい場所へ移動できる逃げ場も残しておくことです。冷風が直接当たり続ける場所だけにしない、毛布やベッドなど暖かい選択肢も置いておく、といった配慮をすると、猫が自分で心地よい場所を選べます。設定温度や体感は住まいや個体で変わるので、様子を見ながら調整してください。
扇風機だけで猫の暑さ対策はできますか?
扇風機や送風だけで安心とは言い切れません。猫は汗腺が肉球などにしかなく、人のように汗の蒸発で体を冷やせないため、風を当てても人ほど涼しく感じにくいとされています(環境省資料)。とくに湿度が高いと、呼吸による放熱の効果自体が下がります。風は空気を動かす助けにはなりますが、暑さが厳しい日は、室温・湿度そのものを下げられるエアコンでの管理を基本に考えるのが安全です。
出典
- 環境省『防ごう!ペットの熱中症』ポスター2025年版(報道発表 press_05067・2025-06-20公表/2026-07-05確認)
- 環境省 平成31年度熱中症対策シンポジウム『ペットの熱中症と対策』(井上快 獣医師・室温22-25℃/湿度50-60%・湿度80%超で放熱最小/2026-07-05確認)
- 環境省『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』(平成14年告示37号・最終改正 令和4年告示54号・適切な温度湿度の維持を規定/2026-07-05確認)
- 環境省『ペットを車内に残さないで!』チラシ chirashi01.pdf(車内15分の数値の元はJAF・2021-08-04/2026-07-05確認)
- International Cat Care『Hazardous weather and your cat』(水をこまめに・涼しい退避場所・閉じ込め注意・英/2026-07-05確認)