猫の医療費は、どんな病気に多く使われているのか。アニコム損保『家庭どうぶつ白書2024』によると、診療費に占める割合は泌尿器25.8%・消化器21.1%・全身性11.1%の順で、上位2つだけで全体の約半分を占めます。かかりやすさ(請求割合)でも消化器14.7%・泌尿器12.0%が上位です。ただしこれはペット保険の契約データで、母集団にかたよりがあります。診断・治療の指南はせず、費用がどこに集中しやすいかの傾向として、母集団の注意つきで紹介します。年齢別のカーブは別ページです。
先に結論から書きます。
猫の医療費は、泌尿器と消化器の病気に集中します。 アニコム損保の白書によると、診療費全体に占める割合は泌尿器25.8%・消化器21.1%で、この2つだけで約半分。かかりやすさ(請求割合)でも消化器と泌尿器が上位です。このページは、どの病気に費用が集中しやすいかを、母集団の注意つきで紹介します。
まず、隣のページとの守備範囲を分けておきます。
このページの守備範囲
医療費のデータには、切り口が2つあります。
- 年齢でどう増えるか(0歳から15歳までの費用のカーブ)
- どの病気に集中するか(疾患別の内訳)
前者の「年齢のカーブ」は、猫の医療費は年齢でどう増える?で扱っています。このページが扱うのは、後者の疾患別の内訳です。「猫のお金は、何の病気に多く使われているのか」を見ていきます。同じ白書の別の表を使うので、あわせて読むと医療費の全体像がつかめます。
どの病気に費用が集中するか(診療費の内訳)
アニコム損保『家庭どうぶつ白書2024』には、猫の診療費が「どの病気に使われたか」の内訳があります。割合の高い順に抜き出しました。
| 疾患 | 診療費に占める割合 |
|---|---|
| 泌尿器の疾患 | 25.8% |
| 消化器の疾患 | 21.1% |
| 全身性の疾患 | 11.1% |
| 呼吸器の疾患 | 6.4% |
| 循環器の疾患 | 5.8% |
| 皮膚の疾患 | 5.7% |
出典: アニコム損保『家庭どうぶつ白書2024』(2-4-4 猫の診療費における疾患の内訳)
いちばん目を引くのは、**泌尿器と消化器の2つだけで、診療費全体の約半分近く(25.8%+21.1%=46.9%)**を占めることです。猫は泌尿器のトラブルが多いとよく言われますが、かかるお金の面でもいちばん大きな割合になっています。
かかりやすさで見ても、上位は同じ
同じ白書には、もうひとつ別の指標があります。「1年間で、どれくらいの割合の猫が、その病気で保険金を請求したか」 という請求割合です。これは診療費の大きさではなく、起こりやすさの目安です。
| 疾患 | 請求した猫の割合 |
|---|---|
| 消化器の疾患 | 14.7% |
| 泌尿器の疾患 | 12.0% |
| 皮膚の疾患 | 8.0% |
| 全身性の疾患 | 7.5% |
| 眼の疾患 | 6.1% |
出典: アニコム損保『家庭どうぶつ白書2024』(2-1-6 猫の疾患〈大分類〉の請求割合、0〜12歳)
こちらでも、消化器と泌尿器が上位です。かかるお金の割合(診療費の内訳)でも、かかりやすさ(請求割合)でも、同じ2系統が上に来る。つまり消化器と泌尿器は、多くの猫にとって、起こりやすさの面でもお金の面でも身近な出費になりやすい、ということが読み取れます。
なお、この2つは別々の指標です。診療費の内訳は「かかったお金がどの病気に使われたか」、請求割合は「その病気を経験した猫がどれくらいいたか」。1回あたりの費用が高い病気と、数多く起こる病気は必ずしも一致しません。両方を並べて見ると、費用の全体像がつかみやすくなります。
このデータの母集団について(大事な前提)
ここで紹介しているのは、アニコム損保のペット保険契約データです。日本の全ての猫の代表値ではありません。
数字を読むときに、次の前提を必ず知っておいてください。
- 保険に入っている猫のデータです。診療費の内訳(2-4-4)は0〜15歳の240,833頭、請求割合(2-1-6)は0〜12歳の231,817頭を集計したものです。
- 母集団にかたよりがあります。ペット保険の契約者は、比較的若い猫や純血種が多い傾向があります。地域や飼い方の分布も、日本の猫全体とは一致しません。
- これは費用と頻度の傾向であって、病気の説明でも診断でもありません。「うちの猫がこの病気になる」という話ではなく、「保険に入っている猫の間では、費用がこういう病気に集中しやすい」という統計です。
だから、この割合を「猫は必ず泌尿器の病気になる」と読むのは正確ではありません。あくまで、お金がどこに集中しやすいかの傾向として使ってください。予防や早期発見の断定的な指南も、このページではしません。
保険の備え方につなげるなら
「費用が泌尿器・消化器に集中する」という傾向は、保険を考えるときのひとつの材料になります。特定の病気だけでなく、通院・入院・手術を幅広くカバーするかどうかを見る、という視点です。ただし、どんな補償が合うかは家庭ごとに違います。
入るか入らないかの考え方はペット保険はいらない?に、入ると決めたあとの選び方はペット保険の比較の考え方にまとめました。うちがどう備えているか(ちくわの保険を年28,830円)は毎月の飼育費の実測で開示しています。
関連するページ
- 年齢別の医療費カーブ → 猫の医療費は年齢でどう増える?
- 保険はいるか・いらないか → ペット保険はいらない?
- 保険の選び方の判断軸 → ペット保険の比較の考え方
- うちの保険料の実額 → 猫2匹の毎月の飼育費、実測を公開
このページについて(免責)
このページは、公開されている白書の数字をもとに、猫の医療費がどの病気に集中しやすいかを紹介するものです。特定の病気の診断・治療・予防の指南はしていませんし、特定の保険への加入をすすめるものでもありません。
引用したデータは、アニコム損保のペット保険契約データ(母集団にかたよりあり)で、全ての猫の代表値ではありません。実際にどんな病気にかかり、いくらかかるかは、その子の体質・年齢・持病で大きく変わります。数字は傾向の目安として受け取ってください。猫の体調に気になるところがある場合は、自己判断せず、動物病院にご相談ください。
よくある質問
猫の医療費でお金がかかりやすいのはどんな病気ですか?
アニコム損保『家庭どうぶつ白書2024』の診療費の内訳では、割合が高い順に泌尿器の疾患25.8%、消化器の疾患21.1%、全身性の疾患11.1%、呼吸器の疾患6.4%、循環器の疾患5.8%です。上位2つ、泌尿器と消化器だけで診療費全体の約半分近くを占めます。ただしこれはアニコム損保のペット保険契約データで、比較的若く純血種が多いなど母集団にかたよりがあり、全ての猫の代表値ではありません。費用がどこに集中しやすいかの傾向として見てください。診断や治療の指南ではありません。
かかりやすい病気とお金がかかる病気は同じですか?
同じ白書には『かかるお金の割合(診療費の内訳)』と『かかりやすさ(請求割合)』の2つの指標があり、上位はよく似ています。診療費の割合では泌尿器・消化器が上位、請求割合(その病気で保険金を請求した猫の割合)でも消化器14.7%・泌尿器12.0%が上位です。つまり消化器と泌尿器は、起こりやすさでもお金の面でも大きな割合を占めます。多くの猫にとって身近な出費になりやすい系統、と言えそうです。ただしどちらも傾向であって、病気の説明でも診断でもありません。
このデータはうちの猫にもそのまま当てはまりますか?
いいえ。これはアニコム損保のペット保険に加入している猫のデータで、母集団にかたよりがあります。契約者は比較的若い猫や純血種が多い傾向があり、地域や飼い方の分布も日本の猫全体とは一致しません。あくまで『保険に入っている猫の間では、費用がこういう病気に集中しやすい』という傾向です。実際にどんな病気にかかり、いくらかかるかは、その子の体質・年齢・持病で大きく変わります。気になる様子があれば動物病院に相談してください。
出典